マット(つや消し)塗装の車は水シミが付きやすい?洗い方と専用コーティング
監修:髙濵 良夫(出光リテール販売株式会社 販売部 担当課長)
マット塗装の車は表面の凸凹にミネラルが埋まりやすく、水シミが付きやすい傾向があります。この記事は、水シミを防ぐ年1回の専用コーティングや正しい洗車方法を知り、独特な質感を保ちたいマット塗装車のオーナーに役立ちます。
目次
結論:マット塗装の車は表面の凸凹にミネラルが埋まりやすく、水シミが付きやすい傾向があります。専用のマットテクスチャキーパーを施工することで、独特の質感を保ちながら水シミを防ぐことができます。
1. マット塗装は表面の凸凹で艶を消している
マット(艶消し)塗装は、重厚で独特な質感を持つ塗装です。一般的な車のボディは、景色が鏡のように映り込むほどの艶を持っていますが、艶消し塗装の車は光沢が抑えられており、落ち着いた印象を与えます。この艶消しの効果は、塗装の表面構造によって生み出されています。

通常の車の塗装は、一番上の層に透明なクリア塗料が塗られており、表面が非常に平滑に仕上げられています。表面が平滑であるため、光が当たると一定の方向に反射(正反射)し、人間の目には強い光沢や艶として認識されます。一方でマット塗装の場合は、一番上のクリア層に特殊な艶消し剤が配合されており、表面に微細な凸凹が形成されています。
この表面のザラザラとした凸凹に光が当たると、光がさまざまな方向へ散乱(乱反射)します。光が一定の方向に反射しないため、鏡のような映り込みがなくなり、結果として艶が消えたように見えるという仕組みです。つまり、マット塗装の魅力である独特の質感は、この非常にデリケートな表面の凸凹によって成り立っていると言えます。
しかし、この微細な凸凹こそが、日常のお手入れや洗車を難しくしている最大の要因でもあります。平滑な塗装であれば簡単に拭き取れる汚れであっても、凸凹の隙間に入り込むことで落としにくくなる傾向があります。マット塗装の美しさを長く保つためには、この表面構造の特性を正しく理解し、適切なケアを行うことが不可欠です。
2. 凸凹にミネラルが埋まって水シミになりやすい(公式)
マット塗装の車を維持する上で、最も注意しなければならないのが水シミの発生です。マット塗装は表面のザラザラとした凸凹によって独特の質感を引き出していますが、反面この凸凹は、水道水や泥水などに含まれる無機質の「ミネラル」が埋まりやすくなっています(出典1)。そのため、一般的な平滑な塗装の車と比較して、マット塗装は水シミが付きやすいという特徴があります。
水シミが発生するメカニズム
雨上がりや洗車後にボディ上の水分が蒸発すると、水分に含まれていたカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分だけが残留します。これが蓄積すると、白くリング状の跡となって塗装面に固着します。マット塗装の場合、このミネラルが微細な凸凹の隙間に入り込んでしまうため、一度固着すると非常に厄介です。車の水垢の落とし方|ウォータースポットまで完全対策でも解説しているように、水シミを長期間放置すると見た目を損なうだけでなく、塗装そのものに悪影響を及ぼす可能性があります。
無機質のコーティングは逆効果になることも
水シミを防ぐために、一般的なボディガラスコーティングの施工を考える方もいるかもしれません。しかし、従来の無機質なボディガラスコーティングをマット塗装に施工した場合、同じ無機質のミネラル(水シミ)が固着しやすくなるため、むしろ水シミがよりひどくなる場合が多いとされています(出典1)。
これは、無機質同士が結合しやすいという性質によるものです。良かれと思って施工したコーティングが、かえって水シミの発生を助長してしまう恐れがあるため、マット塗装の車にコーティングを施す際は、専用に開発された製品を選ぶことが極めて重要となります。
3. 艶出し系・研磨系が使えない理由
通常の塗装であれば、水シミや小傷が付いてしまった場合、コンパウンド(研磨剤)を含んだクリーナーで磨いたり、ポリッシャーと呼ばれる機械を使って研磨したりすることで、表面を整えてリカバリーすることができます。しかし、マット塗装の車に対しては、このような艶出し系や研磨系のアイテムを使用することができません。
研磨すると凸凹が削られて艶が出る
マット塗装にコンパウンドなどの研磨剤を使用すると、表面の微細な凸凹が物理的に削り取られてしまいます。凸凹が削られて表面が平滑に近づくと、光が乱反射しなくなり、正反射するようになります。その結果、磨いた部分だけが不自然な艶を帯びてしまい、せっかくの艶消しの質感が失われてしまいます。一度削られて艶が出てしまったマット塗装は、洗車やケミカルで元に戻すことはできず、再塗装するしか修復の方法がなくなってしまいます。
ワックスや艶出し成分でムラになる
また、カルナバワックスや艶出し成分を含むシリコン系のコーティング剤を使用することも避ける必要があります。これらの成分が表面の凸凹を埋めてしまうと、研磨した時と同様に表面が一時的に平滑になり、ムラのある艶が発生してしまいます。汚れを落とすためのカーシャンプーであっても、撥水成分や艶出し成分が含まれているものは使用を控えるべきです。
このように、マット塗装は物理的に削ることも、何かを塗って埋めることもできないという非常にデリケートな性質を持っています。そのため、汚れや水シミが付着する前に防ぐことと、正しい方法で日常の洗車を行うことが何よりも大切になります。
4. ふだんの洗い方と拭き上げ
マット塗装の車を洗う際は、表面の凸凹にダメージを与えないよう、摩擦を最小限に抑える手洗いが基本となります。自動洗車機のブラシは、塗装面に強い摩擦を与え、凸凹を摩耗させて艶を出してしまう恐れがあるため、使用は避けるのが無難です。

たっぷりの水と泡で優しく洗う
洗車を始める前に、まずはホースの強い水流や高圧洗浄機を使って、ボディ表面に付着している砂埃や泥汚れをしっかりと洗い流します。ここで汚れを残したままスポンジでこすってしまうと、砂粒が研磨剤の役割を果たしてしまい、塗装面に傷や艶を生じさせてしまいます。
次に、中性のカーシャンプーをバケツでしっかりと泡立てます。この際、艶出し成分やワックス成分が含まれていない、純粋な洗浄目的のシャンプーを選ぶことが重要です。たっぷりの泡をボディに乗せ、マイクロファイバークロスや柔らかい洗車用ムートンを使って、泡のクッションで汚れを包み込むように優しく撫で洗いします。ゴシゴシと力を入れてこすることは厳禁です。
素早くこすらない拭き上げ
洗い終わったら、シャンプーの成分が残らないようにたっぷりの水で念入りにすすぎます。コーティング後の洗車方法と洗車機の使い方ガイドでも触れられている通り、すすぎ後の水分拭き取りは時間との勝負です。水道水が自然乾燥するとミネラルが残留して水シミの原因となるため、直射日光を避けた日陰で作業を行い、素早く水分を除去する必要があります。
拭き上げの際は、吸水性の高い大判のマイクロファイバークロスなどを使用し、ボディの上を滑らせるのではなく、クロスを優しく押し当てて水分を吸い取るようにします。拭き取り時の摩擦も艶の原因となるため、最後までデリケートに扱うことが求められます。
5. マットテクスチャキーパーという選択(年1回・作業3時間)
デリケートなマット塗装の質感を守りつつ、厄介な水シミを防ぐための選択肢として、専用に開発された「マットテクスチャキーパー」があります。高級車・外車に最適なコーティングは?メルセデス・BMWオーナー向け解説でも紹介されているように、特殊な塗装にはその特性に合わせた専用のメニューを選ぶことが、車の美しさを保つ鍵となります。


水シミ防止の特許を持つ専用メニュー
前述の通り、従来の無機質なガラスコーティングは水シミがひどくなる原因となる場合があります。マットテクスチャキーパーは、このマット塗装の水シミを防ぐことを目的にした専用のメニューです。
KeePerは、この水シミ防止技術に関して特許(第5955805号)を取得しており、第三者機関による試験報告書でもその有用性が確認されています(出典1)。
質感を損なわない専用設計
コーティングを施工すると艶が出てしまうのではないかと心配される方も多いですが、マットテクスチャキーパーはマット塗装専用に設計されています。研磨や艶出し成分で凸凹を変えてしまう方法とは考え方が異なり、マット塗装の質感を前提にしたメニューです。
| 施工間隔の目安 | 1年に1回の繰り返し(出典1) |
|---|---|
| 作業時間 | 約3時間(出典1) |
マットテクスチャキーパーの施工は、1年に1回の繰り返しが目安となっており、作業時間は約3時間です(出典1)。定期的に被膜を入れ替えることで、常に新鮮な状態でマット塗装を保護し、日々のお手入れによる負担を軽減することができます。
6. 扱える店を確かめる
マット塗装の車は、洗車からコーティングに至るまで、通常の車とは異なる専門的な知識と取り扱いが求められます。特にマットテクスチャキーパーの施工には専用のケミカルと技術が必要となるため、すべてのコーティング店舗で対応できるわけではありません。
施工を検討する際は、事前に店舗へ問い合わせを行い、マット塗装車の施工実績があるか、専用メニューの取り扱いがあるかをしっかりと確認することが大切です。また、現在のボディの状態(すでに水シミが付着していないか等)をプロの目で確認してもらい、今後の適切なお手入れ方法についてアドバイスを受けておくことで、安心して愛車を任せることができます。
マット塗装の車は水シミが付きやすいという弱点がありますが、専用のコーティングと正しい洗車方法を組み合わせることで、その独特の美しさを長く楽しむことができます。
八雲SSの設備やメニューは、店舗ページでご確認ください。
7. よくある質問
8. 出典
- マットテクスチャ KeePer(KeePer技研株式会社、2026年10月閲覧)
この記事の監修
髙濵 良夫
出光リテール販売株式会社 販売部 担当課長
資格:コーティング技術1級資格者(EXキーパー資格者)
弊社中国カンパニーでKeePer施工と施工者育成に従事。
現在は、KeePer全社推進・KeePer LABO推進業務に従事。
